会社は誰のためにあるのか?

ところが、この予測は大きく外れることになり、2010年の第二四半期で既に抜かれ、2010年通期で見た場合でも日本を抜いて中国が世界第二位の経済大国になることはほぼ確実だということです。

ここで言いたかったことは、経済規模が云々ということではなく、ここ数年で、私たちの感覚や想像をはるかに凌ぐようなスピードで世の中がめまぐるしく変化している、ということです。このことによって実感させられるのは、自分たちの都合で世の中は動いてくれないということです。

企業経営においても同様で、「会社は誰のものなのか?」という所有を意味する古典的な問い立ては終焉を迎え、「会社は誰のためにあるのか?」という、たった2文字違っただけの存在意義を意味するこの問い立てが新しさを感じさせてくれます。

「結局のところ、社員とお客様を大事にできなれば、本物の経営とは言えない」
「社員とお客様を大事にしているかどうかと問われれば、どこの経営者だって、大事にしていると答えると思う。しかし、それが98%なのか100%なのか、この2%の差は、ゼロとイチほど違うと思う」
「要は、当たり前のことをどれだけやりきれるかなんだよ」

これは、先日、秋田県で成功されている自動車販売会社のI社長の言葉です。

I社長は、「風土改革というのは、これからの時代にあった考え方に変えること」だという独自の定義づけをしています。自動車の売り方のみならず、お客様との関わり合い方などを地道に変え続け、残業や値引き販売原則なしという条件を自らに課しながらも、新しいチャレンジで、社員にとってもお客様にとっても意味がある価値を次々と生み出し、好業績を維持されています。

原点と絆

ここで言う“これからの時代”というものは、予測するということだけを意味しているのではなく、これからの時代を自分たちはどうありたいのかという“主体的な意志”のことです。この意志を持つことは誰にとっても平等に与えられた機会ですし、考え方を変えるということの対象は、他者ではなく自分ですから、誰にでもできる現実的な行為なのです。

2010年、スコラ・コンサルトは「原点と絆」をひじょうに強く感じる機会を、これまで以上にいただきました。多くのお客様との新たな出会い、かつてともに変革に取り組んだ同志とも言える方との十年ぶりの再会、何年にもわたりお付き合いいただいている皆様、そのすべてが、企業と企業の枠組みを超えた人と人との関係に支えられてきたということを、強く実感しています。

そして来年2011年、当社は創業25周年を迎えます。人の可能性を大事にするという私たちの原点、そして企業と企業という枠組みを超えた人と人との絆をこれまで以上に大事にし、メンバー全員で私たちの会社の歴史に新たな節目を刻みたいと考えています。

皆様の期待を超えるような新たなサービスの提供にもチャレンジしたい、そして、風土改革に取り組むお客様一人ひとりのビジネスの成功に貢献できるサービスを提供し続けてまいりたいと思います。

今年一年間、当社に関わってくださった皆様に心より感謝を申し上げます。来年もどうぞよろしくお願いいたします