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手法があっても中身がない!

業界が異なるX社とY社の開発・設計部門のエンジニアどうしが交流会を行ったときの話です。
Y社では、多忙な業務の合間にも新商品のアイデアを温めておいて、日頃から上司へアピールしている人が多い。そのアイデアの源のほとんどは、お客様との会話の中で出てくる。
それに対してX社では、アイデアを持っていても上司には話さない。
まともに話を聞いてくれなかったり、アイデアをつぶされる可能性があるからだ。結果として、お客様に関心を持つことも少なく、自分が何をしたいかについて考えることもほとんどない。
X社の人たちにとってはY社が羨ましいという話でした。

X社のような状況は決して珍しいものではありません。某大手化学メーカーの研究開発部門でもポートフォリオ・マネジメントなどの米国生まれの管理手法を導入しているが、そもそも新商品につながるようなテーマが出てこないという問題がありました。
部門長が研究開発の現場に行って話を聞いてみると、「アイデアを出すと結局は自分に負荷がかかる」「出す時期を間違えると損をする」といった研究者の本音が出てきたそうです。

アイデア創出の鍵となるスポンサーづくり

アイデアを実現したい個人としては、「あの人は話を聞いてくれる」「あの人に話せば新たな視点が得られる」「あの人なら実現に向けて動いてくれる」といった支援してくれる存在が見えていると、勇気百倍といったところでしょう。
経営成果という観点では、新商品のアイデアを気軽に出せるか出せないかは、短期的には大きな問題ではないかもしれません。しかし長期的には、新商品による継続的な利益創出において大きな差が生じてきます。

モヤモヤとしたアイデアの発掘から企画に至るプロセスを支援する人をスポンサーと呼ぶならば、リストラで贅肉を削ぎ落としてきた日本企業が生き続けていくためにも、アイデア創出の鍵となるスポンサーづくりが実は大きな「経営課題」なのです。