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人間は互いに協力する動物

そもそも、人と人はなぜ一緒に仕事をしようとするのか

「協力して、一人ではできない大きな仕事をしたいから」「得手・不得手を互いに補い合える」「達成したい目標が共通にあるから」「知恵を結集したり、生み出すことができる」「困ったときに互いに助け合えるから」・・・などなど、少し考えてみれば容易に答えが出てくると思います。

ところが、現実に自分たちが仕事をしている組織や企業の中に目を移してみるとどうでしょうか?「隣のメンバーが何の仕事をしているかわからない」「部門同士が反目しあっている」「会社としての目標や方向性がまったく共有されていない」など、どの企業でもよく聞く話です。

本来の目的からすると明らかにその逆の現象が企業内に蔓延している

人と人とが一緒に仕事をする本来の目的からすると、明らかにその逆の現象が企業内に蔓延しているのも不思議な話ですが、特に日本の企業でこういった「組織の本質的な問題」が、今まで「経営的な重要課題」としてまともに研究されてこなかったことのほうがもっと不思議です。

米国では1980年代以降、組織の本来の意味を考え、その力を最大化するための研究や実験を経営の最重要課題として行なってきました。

最近では日本でも、経営や組織の本質に敏感な一部の先進的な企業で、人と人とが一緒に仕事をする本来の意味を考え、組織力を最大限にしていく試みが行なわれ始めてはいるものの、経営の課題として真剣に取り組んでいる企業はまだごく少数です。「チーム力」や「組織力」で勝負するというのは、本来日本企業のお家芸だったはずなのに・・・。

「人間は社会的動物である」と言ったのはギリシアのアリストテレスでした。そのころから、人が一匹狼的な存在ではなく、お互いに協力する存在であることはわかっているのに、一番大事な「いかにうまく力を合わせていくのか」ということの追求が現実ではおろそかになっている。
本当に不思議な話ですね。

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