大阪府の審議プロセス

大阪府では、すべての指定出資法人に対して「経営目標の設定評価」を行なっているのです。

経営状況を見る外部評価には、かつて一世を風靡した「事業仕分け」などがありますが、その多くは「業績結果」が出た後に評価するものです。

この場合、事業を執行した後でその必要性や重要度、目標値などの設定のし方について不適当との評価を受けたとしても、すでに実施した分だけムダが発生してしまっていることになります。
また、外部評価委員の指摘した事項が次の計画にどのように反映されるのかを評価期間内には見届けきれないこともあります。

それに対して、この審議会では、戦略や目標の設定段階から関わりその設定方法について評価していることに特徴があります。
そのため、審議会は年度初めに集中して開催されます。
そして、この審議会で出た意見を踏まえて、出資法人は目標を即修正し、当該年度の計画に反映するようにしているのです。

特に、経営目標の中でも最も重要な目標を「戦略目標」として厳しく評価しています。目標の設定にあたっては、過去の実績や推移、今後の目標と達成に向けた取組内容を記述するだけでなく、設定根拠の資料として、前年度未達だった理由やCS調査の結果などを添えて、各目標のウェイトづけをして説明することを義務付けています。

また、評価対象が府の出資法人であるため、審議する前提として最初に出資者である府の主管部局から、府としてどんな施策のめざす姿や目標を設定しているのか、府政において法人が果たすミッションは何か、どんな戦略を期待しているのか、についての説明を聞き取るところから始めています。
その中で、もし出資法人に対する府のスタンスが不明確であったり、環境整備が不十分だと感じられる場合には、主管部局に対して助言や提案をすることもあります。

このように経営目標の設定段階で十分な審議が行なわれることによって、出資法人の経営者は、その後の経営目標の達成に向けた計画の執行に専念することができるようになります。また、進捗管理と是正もみずから行ないやすくなるでしょう。

ステークホルダーを含めた経営システム全体の機能を改善する仕組みが重要

この経営評価制度の仕組みは、審議会会長の山本浩二大阪府大経済学部教授をはじめベテラン委員の皆さんと、事務局である行政改革課とが長年連携し、経験を積み重ね改定されてできたものです。それによって、指定出資法人の経営は、法人運営の透明性を持ちつつ、経営責任を明確にして、着実に自立的運営力を高めているものと見受けられます。
組織全体の経営改善は内部の改革だけでなく、こうしたステークホルダーを含めた経営システム全体の機能を改善する仕組みを伴ってこそ果たされるものだと実感します。