スコラ・コンサルトの組織風土改革支援は幅広い業種・企業規模にわたっています。私たちが見ている組織は、複雑で多様な人の集合体。これまで数多くの組織と深く関わってきた経験をもとに、“組織に働く力学”の観点から大別してみたのが「4つの組織タイプ」です。もちろん現実の組織がすっきりとした4タイプに分かれるわけではありませんが、折々の機会に、自組織の性格を把握するための“座標軸”として参考にしていただければと思います。

4つの組織タイプ

(1)封建的組織

昔ながらのしっかりとしたヒエラルキーで動く中央集権的な組織です。組織文化としては、上下関係や“ムラ社会”的な秩序が支配的です。情報の流通はトップダウンの一方通行的で、規律的な統制を重視。メンバーのマインドはおおむね安定志向で変化を避けます。経営環境が安定的な高度成長期のように、ビジネスにおける「勝利の方程式」がシンプルであった時代には比較的うまく機能していました。(インフラ産業、官制企業…など)

(2)合理的組織

流動性が高まる経済環境や社会環境の大きな変化に対応するため、顧客や環境を素早く察知し、自らをロジカルに構造的に変えていく組織です。封建的組織に比べると、情報の流通量は多く、情報共有、意思決定の分権化が進んでいます。合理性を重視し成果志向も高いのですが、過度に”合理性”が要求された結果、人間疎外(人間の持つ、感情や意志、曖昧さなどが無視される)の問題を起こしやすいのも特徴です。(外資系企業、IT企業など)

(3)創造的組織

合理性を超えて、人間が本来持つ創造性を最大限に発揮し、新しいものを生み出していくことを重視する組織です。立場、意識上もフラットな組織で、自由度の高い働き方ができることが特徴です。集中的な管理や統制はあまり重視されません。メンバーの個性が発露することでエネルギーや情報が渦を巻き、至るところで絶えず新しいことが起こるために、組織としてはつねに不安定な状態です。(研究開発部門、スモールビジネス、ベンチャー、スタートアップのような若い企業、情報サービス業…など)

(4)軟弱化組織

何らかの理由、自主規制によって組織を動かす原動力が弱体化してしまい、秩序が骨抜きになった組織です。最近こうした組織が増える傾向にあります。たとえば、パワハラ問題などによって部下に強く当たることができなくなった上司が逆に放任に走ってしまう、コンプライアンスやセキュリティの面から情報の流通や共有、人の行き来が制限される、などによって組織の体をなさなくなる、組織として機能しなくなる、といった状態の組織です。軟弱化組織は、あたかもハンドルが効かない車のようなものでしょう。

タイプによって、組織をより良くするための変革課題も異なる

流動性が高い経営環境のもとでは、組織パフォーマンスは(3)が一番高く、続いて(2)。(1)は不適合となります。また、(4)の組織は、組織の体をなさなくなっているのですから、どのような環境下でもあまりうまく機能しません。

このように4つの組織タイプは、それぞれかなり性格が異なりますので、組織をより良くするための変革課題も異なるのです。

現実の組織は、たとえば(1)と(2)の特徴が混ざりながら存在するというように複雑なものです。4つのタイプをそのまま単純に当てはめることはできませんが、自分たちで組織の現在位置を見立て、これからどのような組織になりたいのかという「ありたい姿」を描くことには活用できるのではないかと思います。