シリコンバレーのエンジニアは何を見ているか(後編)<br> ~チャレンジのハードルを下げる「チーム」|コラム|スコラ・コンサルト
シリコンバレーのエンジニアは何を見ているか(後編)<br> ~チャレンジのハードルを下げる「チーム」

シリコンバレーのエンジニアは何を見ているか(後編)
~チャレンジのハードルを下げる「チーム」

源明 典子 | 2018.07.30

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シリコンバレーのエンジニアは何を見ているか(後編)<br> ~チャレンジのハードルを下げる「チーム」

前回は、まじめな日本企業のエンジニアと、挑戦するシリコンバレーのエンジニアの働き方や思考の違いについてふれ、日本企業のエンジニアが取り組みやすい一例として「大目的に近づいていくチャレンジ型アプローチ」を紹介しました。

後編では、日本企業でチャレンジ型の仕事をするための前提条件と、それを後押しするチームについて取り上げてみます。


Googleに学ぶ、成功したチームにあったものとは?

Googleの「re:Work」というサイトに「チームパフォーマンスが高いところでは何が起きているのか」という研究結果が掲載されています。
簡単に紹介しましょう。

1.心理的安全性(Psychological safety):
チームで遠慮したり、戸惑うことなくチャレンジしたりすることができるか
2.信頼性(Dependability):
より良い仕事をするためにお互いを信頼しているか?
3.組織構造と明快さ(Structure & clarity):
チームの目標、役割、実行計画は明確か?
4.仕事の意味(Meaning of work):
自分たちにとって最も意味ある、重要なことに取り組めているか?
5.仕事のインパクト(Impact of work):
自分のしている仕事が重要な仕事だと思えているか?

この5つの要因のうち一番目にある「心理的安全性」が、日本人エンジニアの働き方を変えていくために必要な最初のカギになると私は考えています。

出典:https://rework.withgoogle.com/blog/five-keys-to-a-successful-google-team/


心理的安全性とは、何を意味しているのか?


ここでいう「心理的安全性」とは、チャレンジによってリスクが発生したりする可能性があっても「安心して取り組めるかどうか」という前提のこと。
当然、前例や経験にないことにトライしたら、失敗するかもしれない。
その失敗を許容できる安心・安全な環境かどうかを示す項目です。

特に経験が浅いメンバーは、失敗を恐れ、どうしてもトライすることに躊躇してしまいがち。
「ダメでもトライする」という前向きな行動を促進するには、セーフティゾーン(=心理的安全性)がなければ、その勇気を持てません。
チャレンジ型アプローチのトライを促すためには、マネジャーやチームから、前向きな試行錯誤を応援・協力してもらえるという安心感が必要です。
そういう関係がつくられているから安心してトライできるのです。

心理的安全性については、シリコンバレーを訪問したときに、現地のGoogleで働く20代の女性から聞いた話がとても印象的でした。

彼女は、「心理的安全性は必要です。マネジャーに対して、問題を感じていることやこうしたいという声を上げることがいつでもできますから。
また、何かのテーマにチャレンジしたら、その結果へのフィードバックやアドバイスも、ちゃんと厳しくしてくれますしね」と話してくれました。

日本で「心理的安全性」というと、「上司が否定をしない」「何を言っても大丈夫な雰囲気をつくる」という“ただ見守る”ことのほうに目が向きがちです。
しかし、本来の意味は、挑戦する行動に対する安全性を保証することなのです(ここが大事なポイント!)。

そもそもチャレンジとは結果が予見できない試みです。
それだけに、マネジャーやチームから折々にフィードバックがあり、次につながるアドバイスや支援が得られることで安心して取り組めるのです。


チャレンジは「チーム」のほうがいい


私たちが主宰するオープンネットワークのエンジニアLinkでも、メンバーの多くが「一人よりチームのほうが発想は広がる」と感じています。

【チームでチャレンジする7つの利点】

1.安心・信頼の関係がある、孤独じゃない
2.多様な視点と経験が新たな気づきになる(観点をずらす、視野を広げる)
3.メンバー同士の相互作用でアイデアや発想が広がる
4.やり方や技術・知識が豊富になり思考の壁がなくなる
5.議論が積み重なって一人よりも考えが深まる
6.決める、決まるのが早い
7.みんなで考えるのが楽しい

ここで軽視できないのが「楽しい」ということ。
予算や使用技術、テーマなどの制約や、「ねばならない」計画や目標が前提になっていると、自由に思考を遊ばせるワクワク感がなくなります。
アイデア段階ではチームで発散にドライブをかけ、プロトタイピングなどビジネスとして現実的に考える段階では、チームで打開の知恵を絞る。
そうやって個人の限界をチームで超えていくことができるのです。

新しいテーマにチャレンジする際のチームの意義については、シリコンバレーのカンファレンスやインタビューの中でも聞かれました。

たとえば、GoogleやAppleのチーフエンジニアを経験したGuy Kawasakiさんは「人と人とのコミュニケーションがベース。世界を変えるような高い目的に対して仲間がいて、そこから学び、教え合えることが大事。
そして何よりもHappiness first!!であることだね」と語っています。

【チャレンジするチームになるためのポイント】

1.違和感や問題を、感じるままに語り合う
2.自分の「こうしたい」思いと素直に向きあう
3.お互いの強み、特性を理解する
4.何が「無理」「できない」のかを見直す
5.みんなで「目的」について思いをふくらませる

プロジェクトのスタート段階で、このようなチームづくりを意図的に行なうことで、目的にコミットでき、お互いに協力し合える、オープンで自発的なチームが形成されます。


●自由と成長を制限する負のループから脱出する

現状でみれば、日本企業のエンジニアの多くは、図1のような「チャレンジが生まれにくい行動ループ」にはまってしまっています。

  

このループから解放されるには、 “チャレンジをするための心理的安全性”が担保された環境の中で行動プロセスを変えてみる、ことがポイントになります。
この前提条件(心理的安全性)なしに、会社がいくら「挑戦する人を応援する」とチャレンジを推奨しても、社員の行動は起こらないでしょう。

この条件を満たしてくれるのが前に述べた「チーム」なのです。

心理的安全性が確保された環境では、安心してチャレンジができるため、「トライ&ラーン」が浸透していきます。
それにより「挑戦する」気風や新しい動き方が育っていき、チャレンジのハードルも徐々に下がります。
トライの繰り返しによって今までにない結果が表れるようになると、図2のような「トライ&ラーンのループ」のサイクルが動き出します。

  

「失敗はそこから学ぶチャンスを与えてくれる。難しいことにチャレンジするから学ぶことができる」とAppleのエンジニアは言います。
実際に行動してみると、いろいろと気づくこともあるでしょう。
仕事が面白く感じるようになれば、さらにチャレンジしたいという意欲も湧いてきます。
挑戦し、行動することで壁や課題にぶつかることも増えるでしょう。

企業がチャレンジのための心理的安全性を担保する、高い目標を掲げることにより、チームは「トライ&ラーン」ができるようになっていきます。
やってみることで、思考もプロセスも従来とは変わってくるため、もしかしたら、想定を超える「何か」新しい成果が生まれてくるかもしれません。

新しいことへのチャレンジには、やってみて見えてくること、理解できること、学べることがたくさんあり、それこそが企業にとっての収穫です。
なんといっても、メンバーにとっての「What」が大きなスケールであるほど、答えのないところに道筋をつくっていくチャレンジは、ワクワクする面白い仕事になるでしょう。


▼エンジニアLinkのサイト
http://www.join-engineerlink.com/

著者プロフィール

源明 典子

源明 典子

NORIKO GENMEI

いい会社、いい組織づくりには、社員が自ら組織で知恵を出して実践する環境が不可欠と考え「ありたい姿」「自発性を引き出す」「チームの協働」「マネジメントの変革」の視点をもって支援に携わる。とくに、製造業の…

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