二刀流の組織をつくるマネジメントのすすめ|コラム|スコラ・コンサルト
二刀流の組織をつくるマネジメントのすすめ

二刀流の組織をつくるマネジメントのすすめ

元吉 由紀子 | 2021.04.30

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二刀流の組織をつくるマネジメントのすすめ

地方から国へ、規制緩和や権限委譲について提案する機会

3月22日、内閣府主催の「地方分権改革シンポジウム」が開催されました。このシンポジウムは、地方分権改革20年を総括した際に掲げられた「個性を活かした自立した地方をつくる」という大きな目標に向けて開始されてから7年目になります。昨年はコロナ禍で中止されましたが、今年はWebでの開催になりました。
地方から国に対して規制緩和や事務権限の委譲について提案する「提案募集方式」がスタートしたことに伴い、その成果を広く国民に共有し、取組みを促進する狙いで実施されています。令和2年度は、提案数が累積で2700件を超えました。

内閣府では、提案の実現度を高めるべく、地方自治体からの提案と関連省庁をつなぐ調整を図り、また、本方式の認知・活用度を高めるために、各地で自治体職員向けに研修も実施しています。これにより、提案実現・対応の割合は年々向上し、昨年度は94%というハイスコアになっています。
国が聴く耳を持ち、提案を歓迎する受付体制を整備することによって、地方から権限委譲を要望すれば、確実に実現できる道筋がついてきたと言えます。

提案募集方式から見えてきた自治体格差

年度ごとの提案数は、初年度を除くと300件程度の横ばい状態にありますが、提案の実現度が高まるにつれて、提案を経験した自治体累計数は着実に増えています。初年度の2014年には68だった団体が、2020年には578と約9倍になりました。
しかし、提案自治体累計の内訳に目を向けると、都道府県100%、特別区100%、政令指定都市95%、中核市74%、一般市39%、町村22%と、自治体の規模による格差が大きくなっています。これは、単に提案募集方式の認知度などの差によるものだけではないと考えられます。

たとえば、規模の小さい自治体になるほど、職員一人が担当する業務の範囲が広くなります。各種法制度に関する事務も、まずは理解して正しく運用することで手一杯なのが実情ではないでしょうか。
提案募集にあたっても、制度に関する専門性が弱い場合、地域の現場で起こっている問題が制度に関わる問題だと気づかないとか、国に制度の改善を求める必要があるか否かを見極められないこともあるでしょう。また、どのような改善をすればいいのか、具体的な企画をするにあたっての発想や力が及ばないとか、もし提案を思いついたとしても、それを今後すべての事案に適用するまでの自信が持てない、などの理由も考えられます。

すなわち、地方分権を促進する提案力の格差の背景に、各種制度に対する自治体個々のリソース不足による運用力の問題があり、提案のすそ野が広がっていないことが推察されました。

自治体の制度運用を実現する二刀流の組織マネジメント

国の法律など、制度を運用するにあたって自治体に求められる仕事には、大きく二つの側面があります。
一つは、既存の制度を決められたとおりにきちんとミスなくこなす「守る仕事」。もう一つは、地域のめざす姿を実現するために、既存の制度を活用しつつ制度や運用の改善策を考え、住民サービスを向上していく「攻める仕事」。行政組織では、これら二つの仕事を二刀流で実現していくことが重要です。

特に、後者にあたる募集提案方式には、それに応じた組織マネジメントが求められます。シンポジウムの中では、マネジメントに関する3つのポイントをお伝えしました。

1)気楽にまじめな話ができる場

制度を運用する現場では、関係部署の職員や地域の住民と気楽にまじめな話ができれば、問題を発見しやすくなるものです。相互に牽制したり対立する関係があって、「どうせ言ってもムダ」とあきらめている状態では、問題を見過ごしかねません。

2)「地域のめざす姿」を思いに持つ人

地方分権の目的は、地域の住民に対してよりよいサービスを実現することにあります。昨今では、地方創生などでもそれぞれの地域の特性をとらえ、地域のめざす姿に向けた独自の戦略を策定する傾向があります。そこでは、めざす姿に向けた思いや情熱を持つ人がリード役になることで、地域の方向性に沿った改善のアイデアを多様な人たちから引き出しつつ、最適な案に近づけやすくなるものと思われます。

3)立場を超えた仲間とのオープンな連携と試行錯誤

地域のめざす姿に向けた住民サービスの向上といっても、環境変化の激しい時代には、何をやればいいのかが最初から明確に見通せるわけではありません。実際にやりながら自分たちなりのあり方、やり方を見出していく試行錯誤のプロセスが必要になります。その取り組みには、思いを共有し、組織や立場を超えて協力し合える信頼関係を築いた仲間の存在が不可欠です。


さらに、Withコロナの環境下では、デジタル化が一気に進み、AIを活用したSociety5.0やスマートシティなど、「攻める仕事」に求められる要素が格段にレベルアップしてきました。二刀流を実現する組織マネジメントの3つのポイントも、さらにバージョンアップする必要があります。
シンポジウムでは、それについてもご紹介していますので、興味のある方は、内閣府の公開動画をご視聴ください。当日の資料もダウンロードできます。

▼内閣府 地方分権改革シンポジウム~私たちの声で国の仕組みが変わる『提案募集方式』~
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/shinpokaisai/shimpokaisai7.html

著者プロフィール

元吉 由紀子

元吉 由紀子

YUKIKO MOTOYOSHI

生活者起点で時代最適の価値を創造し続ける経営を実現できるよう、トップと現場の有志たちが連携・共振していくプロセスを一緒に築きあげている。

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