同質化しがちな組織に必要な異質な視点

そんな改革の現場でも、私がお手伝いする企業の中には、すばらしい活躍をしている女性の改革推進者がいます。
たとえば、「うちの会社は社長が死なない限り良くなりません」と初期のヒアリングで公言していた女性は、超ワンマンの社長を恐れて誰も口に出せなかった問題をはっきり指摘したことが逆に社長から認められ、数年後には社長の腹心の改革参謀になりました。

有志のオフサイトミーティングに人が集まらず苦戦していたとき、「私のために集まって!」と現場に声をかけ、一気に数十人を集めた工場の女性世話人もいます。
普段、仕事のなかで皆のために頑張り信頼されている彼女の力でした。

あるいは、一社員が経営トップに会うことなど考えられないような大企業で、活動のために必要と感じるや、直接社長にアプローチをして面談を実現させた改革推進事務局の女性担当者、「あいさつなどマナーへのこだわり」を武器に支店をお客様視点に変えることで、支店長の方針展開をサポートした女性リーダーもいます。

女性にはもともと、「自分からみて意味があるか」といった基準や、「○○さんのために」という理屈抜きの思いで動く特性があります。
そういう女性の担当者がいることで物事がうまく進んだ例はたくさんあります。タテ社会の規律に従う男性ばかりの社会では、こうしたケースはあまり見かけません。

先の見えない環境のなかを企業がたくましく生きていくためには、同質化しがちな組織に異質な視点をどんどん取り入れていく必要があります。
もっとも身近な異質である女性社員のポテンシャルを引き出すこと、活躍の場を広げることは、競争力のカギになるのです。