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「予想外」の強さを呼び起こす組織
 サッカーのワールドカップが日本中を震わせている。
 まさか、あの予選前の練習試合では迷いばかりが目について「だめだ、だめだ」と言われていたチームが、本番でこれほど得点を取って勝ち進むとは。ひとつ勝ってもまだ半信半疑、ましてや決勝トーナメントにまで進出するとは誰が想像しただろうか。

 試合後のインタビューで、岡田監督は「日本の強みである守りを生かしたワントップでいくことを決めたことが勝ちにつながった」と語っている。チーム本来の「守り」を生かすためには、海外で活躍するような選手でも控えに回さざるを得ない。それでもメンバーを信じて、本来の強みを最も発揮できる今のフォーメーションを選択したことが予想にない勝利をもたらした。

 この戦略のもとでチームはどんどんひとつになってきているように見える。確かに試合を見ていると、大声で声を掛け合いながら連携をとっている光景や、得点した瞬間、控えのメンバーのところに走っていく選手の姿をカメラがとらえている。勝てた自信がチームワークをさらに強めているという見方もあるが、それだけではないだろう。
 私の目には、日本が自分たちの強みは「チームのまとまり」であると再認識したことと、勝つための戦略を実行するためには「チームワーク」が不可欠の条件だということを自覚したがゆえの行動のように見える。

 日本だからチームワークは良くて当たり前なのではなく、意識してチームワークを強化しているのだ。

 当初、岡田監督の掲げた「世界のベスト4入り」という目標は、どう見ても現実味のない掛け声にしか聞こえていなかった。しかし、今はこの目標が選手の自信と本気度をさらに高めているように見える。
 目的や目標は、ただそれだけではチームを引っぱる原動力になりえない。はっきりとした戦略が打ち出され、それを貫こうとするリーダーシップがあり、さらにそれを信じてプレーを展開していく選手の意欲があってはじめて絵に描いた餅ではなくなる。これらの条件が、相手のある対戦にフィットしたときに勝利は転がり込んでくるのである。

 このたび出版した『衰退産業・崖っぷち会社の起死回生』で描いた改革のストーリーも、成熟企業の限界を突破できずに縮小均衡の道をたどるしかないと思っていた会社が、サッカーの日本チームと同じように戦い方のパラダイムを変えて、苦境から脱していくプロセスを描いている。
 「本業の強み」と「戦力(人材)」の可能性を信じて再生をめざす経営が自ら生み出した「予想外」のもの。そのチャレンジを感じ取っていただけたら、著者としてうれしい限りです。
プロセスデザイナー 遠藤咲子




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