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葛藤と創造の中で躍動するチームワーク
 ここ数年、多くの企業の現場支援をしていて感じるのは、どこの職場もギリギリの人数で仕事をしており、同僚や仲間に気を配る余裕がなく、バラバラになってしまっているということです。
 こういう現実に対して、「チームワークを取り戻し、職場を再生したい」という声をよく耳にします。
 しかし、よく聞いてみると、その“再生”とは、昔のように「ベテラン−中堅−若手」がバランスよく配分された組織構造を取り戻す、というイメージで語られることが多いように思います。
 これを実現するのは現実には困難ですし、かつて機能した職場のチームワークのあり方が、これからも機能するとは必ずしも言えません。
 これからは、今までの延長ではない新しいチームワークの絵姿を描いていかなければならないと私は思います。

 通常、「チームワーク」と言われるときは、コミュニケーションや信頼関係、協調など「つながり」の側面が強調されているように思います。もちろんそれも必要ですが、人間関係に目が向きすぎると、メンバーが同調しやすく、チームとしてのダイナミズムをなくしてしまう傾向があることも事実です。チームワークは「仲のいい集団」と同義ではないのです。

 本来、チームに求められるものは“人と人とのつながり”だけではありません。日々直面する新たな課題に対して、チームワークを通じた問題解決をし、成果をあげていくことです。とくに変化の激しい環境においては、個々人の頑張りだけで局面を打開していくのは難しく、チームの総合力・統合力によって仕事をしていく必要があります。

 チームとして成果をあげるとはどういうことでしょうか。
 もっとも基本になるのは、全社の方針や戦略にもとづいて、それを現場で“具現化”していくプロセスをチームで担っていくということです。方針・戦略そのものは、机上のプランに過ぎず、「チームによる具現化のプロセス」が弱いと実現されません。

 私たちは、よく企業のさまざまな階層の方々にインタビューをする機会があります。トップが語る理念や戦略と、部課長層をはじめとするミドルマネジメント層が実際に展開している仕事とが密接に連動していることもあれば、方針は「それはそれ」として、現場ではほとんど顧みられていないケースもあります。ただし、この差はきわめて大きいと感じています。

 方針・戦略を具現化するチームの力とは、トップが示す抽象的な方針や戦略について、チームでその意味や目的、実現のための方法などが徹底的に話し合われ、また、具体的なアクションを伴ったトライアルの試行錯誤を早いスピードで回していくことです。

 このようなチームワークを実現するためには、多様性(ダイバーシティ)を活用することが欠かせません。
 それには二つの理由があります。
 一つは、職場の多様性が否応なしに進んでいくと予測できるからです。
 二つ目の理由は、多様性が生み出すダイナミズムを創造的に活用するほうが、同質の集団よりも飛躍的な成果をあげることができる可能性が高いからです。多様性を持ったメンバー同士で、認識をすり合わせ、より大所高所から考えられるように視野を広げ、互いの知恵やアイディアなどをぶつけ合い、切磋琢磨することで、新しい価値は生み出されていきます。
 そのためには、お互いを知り合い、違いを認め合うことを促進していく対話の機会を日常的につくる必要があります。

 そのプロセスは、必ずしも簡単ではありません。むしろ、多様性の中での対話は、さまざまな「葛藤」や「ジレンマ」を生み出すでしょう。つねに適用できるような“正解”はありません。
 これからの時代のチームワークづくりには、「葛藤」や「ジレンマ」に向かい合い、「答えのない問い」への試行錯誤を続けていくことが求められるのだと思います。
プロセスデザイナー 塩見康史




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