営業支援システムで部を超えた情報の共有化を図る

事者意識を作っていくには社内の情報の共有が欠かせない。名鉄EIエンジニア(旧 メイエレック)では2015年に導入された営業支援システム(Sales Force Automation:SFA)が営業部員と管理層との情報共有に役立っている。このシステムは、日報替わりになるだけでなく、営業部員は1週間毎に実現するべき営業活動を書き入れる。また、将来の予定もセッティングできる。「お客さまから来年同じ時期に再提案の要請があれば、時期を粗々で決めてアラームをセットし、その時期に忘れずに営業に行きます」と篠田さんは説明する。

今年4月からは設計課長、工事担当グループ長までこのSFAを共有した。「営業はガラス張りになり、前線の情報が施工部門にも入ります。これによって施工部門には次にどんな仕事が来るかが読めるようになりました。各課長は情報を見て、必要に応じて社内でその情報を展開します」(篠田さん)。

営業の受注・失敗事例はデータベース化され、当該部署で見られるようになっている。「さらに、大きな受注とか、お客様からお褒めの言葉をいただくような喜ばしいことも水平展開してモチベーションアップに繋げています。これはSFA以外に社内LANで『ホットニュース』として流れます」(同)。

また、篠田さんはこの6月に取締役社会インフラ事業部長となったが、以前、営業部長時代その席の前には写真のようにさまざまなコミュニケーションを誘発するオープンスペースが設けられ若手社員を中心に、常に打ち合わせやオフサイトミーティングが行われる(図1)。

「立ったままでさっと話すことも多いですね。私には内容が聞こえていることを社員もわかっていて、判断に迷うと聞かれます。自分の仕事になかなか集中できないのが困ったところです」と篠田さんは笑う。

図1 新たに設けられたオープンスペースでの打合せ風景

 

創立20周年、その先へ向けて、さらなる風土改革が必要

風土改革に向かって、大きなステップを踏み出した名鉄EIエンジニア(旧 メイエレック)。とはいえ、まだまだ壁は厚い。

この4月に始動した2代目のGRIPの推進メンバーは、昨年とは異なり、管理職ははずし、各部署から選定した。「担当レベルでの活動に重きを置くのが狙いです。ただ、未だにGRIPの趣旨が理解されていない部分があります」と植木さん。そこで、全社員に向けての意識改革のためにも、GRIPの活動について、GRIP通信と呼んでいる社内広報誌を作成して回覧するようにしている(図2)。

図2 GRIPの活動内容を周知するGRIP通信。現在14号まで発行されている(2017年8月現在)

また、昨年まではビジョンや行動宣言を策定するという当面のゴールに向かって作業を進めたが、今年はより深い活動が必要となっている。「ビジョンや行動宣言を実現するために各職場で何をすべきか考え、小さいことでも変えてみようとする動きを期待しているのですが、自発的な動きは一部の部署に留まっています」(植木さん)。清水社長も「推進メンバーの温度差の解消に注力するのか、やる気のあるメンバーに賭けるのかは悩ましいところですね」と話す。

篠田さんも「GRIP15に目覚めたメンバーやその周辺では、GRIP15の活動が日常の業務となっているため、風土改革は意識に上りやすいのですが、ほかの社員はまだまだ。ベクトルの向きを揃え、これからは業績という数字に置き換えていかなければならない。新しいコトへのチャレンジを促す風土を醸成することと人材育成も含めて、これからが勝負ですね」と語る。

この2月から清水社長や植木さんを含む7人のメンバーが毎週1回、創立20周年に向けての経営戦略会議を始めている。「これまで名鉄EIエンジニア(旧 メイエレック)が抱えてきた課題を逆転させて好循環を作りたい。そのためにはリスクや無理も必要。私自身にも負荷をかけて、社員を十馬身ぶっちぎるくらいの勢いで突っ走らないと、社員は本気になってついて来ないのではないか」と清水社長は決意を述べた。

人事異動の遡及効果、GRIPの活動の発展など、昨年来の風土改革の成果、そして新しい活動を生み出すことが求められている名鉄EIエンジニア(旧 メイエレック)は、いわば第2の試練とも言うべき大切な時期を迎えている。しかし、これまでの風土改革で培ってきた、互いを認め合う関係性を糧にして、名鉄EIエンジニア(旧 メイエレック)一丸となって、成果を生み出していくことだろう。