会社の未来は、意思決定チームのありように大きく左右されます。
経営会議では、各所の情報(データ、現場感覚)をもとに最適解を導き出し、意思決定を行ないますが、その意思決定の質は、チームの関係性、事実情報に対する感度や関心、課題創造の力、議論の質によって変わります。
情報量やデータ分析も重要ですが、とりわけ混迷する環境下では、根本的な問題を顕在化させ、既成の答えを覆し、イノベーティブな課題設定につながる「常識を問う力」が議論の基調に必要です。
今はまだ多くの企業で、計画どおりに数値目標を達成することが最重視された時代の美意識や常識が生きていて、結果を生み出すプロセスよりも、“結果がすべて”の価値観を引きずっています。
しかし、正解のないこれからの時代は、会社や業界の垣根を越えたビジネスパートナーや、身近なところでは外部登用の経営メンバーなど、視野も経験も文化も違う人たちと話し合いながら“一緒に答えをつくる”機会も増えていくでしょう。
特に日本企業の場合は内部昇格者の幹部が多いこともあり、タテ割り組織の部門長の立場では持てなかった全社的な視点で物事を見て、考えるためのトレーニングの機会が必要です。
経営会議の中身を“結果重視”から“生み出すプロセス重視”へと変えていくマネジメントの前提の見直しは、環境最適な新しい経営のメンバーを育て、経営のやり方を変革することにもつながるのです。
最近では、経営チームづくりと経営会議の見直しを入口にして組織風土改革に着手する会社の例も増えてきています。
風土改革は、時代に合わない会社の常識や価値観を見直し、変化に柔軟な会社になっていくために行なう、未来のための準備でもあります。
その改革においては、最も影響力のある経営の意思決定層から着手することが、最も効果的かつ近道であると考えられているのです。