横浜市交通局の組織風土・職員意識改革

横浜市交通局は、横浜市からの任意補助金に頼らない「改善型公営企業」の実現をめざして、平成19年度から改革に取り組んできました。公共交通としての使命を果たしながらも、「効率化・経済性」と「民間並みのサービス水準」を共に追求するという自主自立の経営が求められる中、構造改革や路線の改廃、賃金・評価制度の見直しなど、さまざまな改革を実施してきました。

このようなハード面中心の組織改革に加え、職員一人ひとりが担当業務を通してお客様満足を高められるような仕事のやり方に変えていくことが求められています。公務員としての身分保証や給与体系、評価システムまでは大きく変えられないという制約の下で、長年培われた役所体質、公共交通事業者意識を変えていくのは大変なことです。

アクションプランと連動したマネジメントのあり方の見直し

そこで交通局では、組織風土・職員意識の改革を、局全体の課題として中期経営計画である「アクションプラン」の中に組み入れました。また、部署ごとの重点課題として個々人のMBO(目標管理)にも反映し、施策に一貫性をもたせることで、課題達成の確実性とスピードを高めようとしました。

その実行性と実効性を得るために、MBOを活用して課長職が職場の風土改革に取り組むマネジメント研修プログラムを実施しました。
研修では、年度当初に各課長が重点課題をブレイクダウンしてMBOの目標を設定するところから、部門内のタテとヨコに共有を図ります。中間のふり返り時には、評価結果をもとに年間のスケジュールに沿って、実際の取組みテーマを題材に自らのマネジメントのあり方を見直し、今後の対策を考え、実践していくという継続的なアクション・ラーニングを行なっています。

また、目標の設定と展開にあたっては、部長層も含めて目標設定の基準を定め、局全体のアクションプランと連動した自部署の目標を設定します。課長が研修後に係長層と共有したうえで、部署内でカスケード(階段状に連続する状態)に展開していくよう注力して取り組みました。10月の中間レビューの前には、第2回の研修が部ごとに実施されます。それに合わせて係長からアンケートをとって、職場内での課題への取組み状況について、客観的にふり返ることができるようにしました。

マネジメントを実践の3つの視点

自職場のメンバーが改革の新たな方向に向かって納得し、取り組めるようなマネジメントを実践しているかどうかを判断するために、3つの視点で評価しました。

第一に、MBOで掲げた課題(具体的内容)が想定どおりに達成・解決に向けて進捗しているかどうかを、冷静に評価します。

第二に、これらの目標達成や課題解決を促す職場風土の条件が、どの程度整っているかということです。職員から主体的な改善提案が出てきている、核となるリーダーが育っている、チームで取り組む傾向が強くなっている、お客様視点で考える職員が増えている、報連相が円滑に行なわれている、といった前兆行動に注目します。

第三に、このような職員行動を促進するマネジメント、「スポンサーシップ」を自身がどの程度発揮しているかどうかという点です。対話を通じ目標に向かう動機づけをしたり、目標を翻訳して実行策とのつながりを伝えているかどうか。他部署や外部との仲介役になり、職員が達成感を味わえる機会をつくるなど、課題達成のためのメンバーの行動や能力を高めていくマネジメントです。

 

このような自己チェックの中で、「職員が自分で考えざるを得ない状況をつくり、改善するための条件を整えている」という項目に関しては、低い評価となり、マネジメント課題として共通の認識ができました。

課長層のマネジメント研修を職場風土改革のための機会と捉え、毎回の研修結果をもとに部長会議で議論し、次の展開を一緒に考え、部長もコミットする。このプロセスを通じて、MBOの評価時点だけではなく、日常の活動を通して改革を推進していく体制ができつつあるのです。