思いがけず、現役自治体職員以外の方から共感と応援メッセージが多く届いていることは、とてもうれしいことです。

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その半面、自治体職員からは「なるほどなぁ~と思えることが多くあり、とても勉強になりました」とか、「自分はどうだろうか、どんなキャリアマップが描けるのか、ということはよくわかりませんでした」という声が聞こえてきます。

進化力は、自分では気づきにくいもの!?

新著では、新しい環境の変化に応じた改善活動に求められる能力・スキルを「進化力」としました。そして、持続可能な自治体を築くために、この進化力に求められる能力やスキルについて、事例を紹介しながら解説しました。

ただし、進化力の必要性や習得方法については、民間企業の方や、公務員であっても出向や転職などによっていくつか異なる組織に所属したことのある人のほうが実感しやすいようです。
一方、役所内だけで勤務している現役の自治体職員にとっては、すぐにはピンと来にくいところがあるのかもしれません。

それは、自治体はどんなに経営困難になったとしても倒産する心配がなく、職員は身分保障をされている安心感からではないでしょうか。
また、同じ地域の中にずっといるため、どんなことも当たり前にあるものとして感じられ、なかなか変化を感じ取りにくいことがあるのだとも考えられます。

そのうえ、進化力は、たとえ身につけていたとしても、それは目の前の課題に懸命に取り組んだ結果得られた副産物に過ぎず、最初からその能力やスキルを得ることを目的にしていたものではない、という特性もあります。
それこそが、本の中で「後づけキャリアデザイン」と名付けた理由となっています。

したがって、今まさに課題に取り組んでいる渦中にあったり、取組を終えたばかりの職員には、そこで身に付けた能力やスキルには気づかずに過ごしてしまっていることがあるのではないでしょうか。

先日、ある地域の職員と、新著の読書会を実施する中で、「これまでのチャレンジ体験から、キャリアマップを作成してみましょう!」という試みをしました。
そこでは参加者の方々からたくさんの進化力に通じるチャレンジ体験を伺うことができ、とても有意義な気づきの機会となりましたので、みなさんにご紹介します。

これまでの自分の改善チャレンジ体験を持ち寄ろう

読書会のメンバーは、新著事例執筆者の一人である和歌山県西川展子さんが入っている和歌山県と県内市町村の職員のつながりである自主交流グループ「紀伊人(キーマン)」たちです。
グループでは、情報交換、スキルアップとその先を目指して、毎月1回金曜夜に語り合っています。これまではリアルに集まって各種の勉強会を開催、コロナ禍になってからはWEB開催しているそうです。

11月に、西川さんがそんな仲間に呼びかけて、新著の読書会が開催されました。
西川さんと私は、事前に相談して、「せっかくの機会なので、本に書いた改善活動の12場面を活用したキャリアマップづくりにみんなでトライしてみましょう」という企画になりました。

そこで、参加者には事前に「Myキャリアマップトライアルシート」を配布。
そこに以下の3つの体験を箇条書きのメモにして提出いただきました。
(1)仕事をよりよくする改善に関心を持った最初の出来事
(2)次に、みずから改善にチャレンジして最初に成功した体験
(3)その後ステップアップして取り組んだ改善(失敗経験でも可)

チャレンジ体験をもとに対話する

読書会当日は、WEBで9人が集まりました。最初は、参加メンバーと私の自己紹介、それに新著の背景にある思いとポイントについて簡単に解説しました。
その後は、二人ずつブレイクアウトルームに分かれて、お互いが書いてきた事例のうち1つを紹介し合い、共有する対話をしました。
最後は、再び全体で集まって一人一言ずつ感想を述べ合う、という流れです。

メンバーの中には、まだ本を読んでいないという方、事前課題を提出しきれなかった方もいました。自治体や所属は異なりますが、それでも毎月の定例会ですでに顔見知りであったことから、一事例を選択して紹介することにはさほど抵抗感はなかったようです。
そして、ブレイクアウトルームから全体会に戻ってきたときには、みなさんとても晴れやかなニコニコ顔で、まだまだ話し足りなかったという表情をされていました。

そして、「感想はいかがでしたか」と質問したところ、出て来たのは、自分の感想よりも、話を聞いた相手の改善のここがよかった!という、ほぼ他己紹介になっていたのです。
そこで、「じゃあ、これから他己紹介をし合いましょうか」と言って、回し始めると、みながとても生き生きと、相手の活動を、さも自分の経験であったかのように語り出したのです。
ナント見事に共有とフィードバックを合わせた共感の場になっていました!

この他己紹介している間に、私は事前課題を画面共有して、改善体験の中でどんな力が発揮されていたのかについて、質問を投げかけました。
すると、それぞれの改善取組の内容は、部署の状況によって異なるものの、発揮された能力にはその人ならではの強みが生かされていることがわかってきました。

互いの改善キャリアを学び合った感想

会後は、参加者は会の中で得られたフィードバックコメントをもとに「Myキャリアマップ」を修正し、全員宛のメールで共有することになりました。
メールには、以下のような会の感想も添えられていました。

・こういう形で整理したことがなかったので、改めていろいろな気づきが 得られました。
・1対1の事例紹介では、10分も話す内容ではないなと思っていましたが、誰かに話すことで考えが整理され、気づくこともあり、終わってみると 時間が足りないと感じるほどでした。
・元吉さんや参加者の皆さんからいろんなフィードバックをもらえるので、自分で振り返った時には気づかなかった新たな気づきも得られました。
・普段あまり褒められることのない公務員にとって、自己肯定感が高まりました。
・人数がこぢんまりとしていたので、他の皆さんの事例と分析も聞けたのも勉強になりました。
・自分の経験だけでなく、より多くの人の経験を共有することで、自分の経験かのようにとらえ学べたら、大きな価値がある、そう感じます。
・皆さんの表情がすごく笑顔だったことが本当に嬉しかったし、ワクワクした時間を過ごさせていただきました。
・係長として、部下の育成にキャリアマップをうまく活用していければと思います。

など。

進化力は答えが予測される改革や改善とは異なり、主体的に新しい時代環境の変化を感じ取りながら、自分の思いを持って、試行錯誤しながらチャレンジしていくことによって身に付いていくものです。
だからこそ、堅苦しく立派にプレゼンテーションして発表するよりも、立場肩書を外して素の自分らしさをあるがままに語れるオフサイトミーティング形式の場で対話するほうが、個々の改善体験に基づく情報を有意義に共有、共感できるようです。

読書会が、この「改善キャリアマップ」を通じてみなさんと進化力に関する経験を分かち合える機会となり、そこから職場、自治体の中での共有に広がってくれれば、うれしく思います。

次は、ぜひうちでもやってみよう、という方は、行政経営デザインラボのHPお問合せコーナーからお気軽にリクエストください。
なお、個人の方を含め読後感想をお寄せいただきました方には、改善キャリアマップ作成支援をさせていただく読者プレゼント企画を先着100名様まで実施しております。