地域のめざす姿を仕事の目標と結びつけて自分ごと化する|コラム|スコラ・コンサルト
地域のめざす姿を仕事の目標と結びつけて自分ごと化する

地域のめざす姿を仕事の目標と結びつけて自分ごと化する

元吉 由紀子 | 2021.04.10

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地域のめざす姿を仕事の目標と結びつけて自分ごと化する

■地域のめざす姿を憶えていますか

 

総合計画の基本構想に示された将来像、地域のめざす姿は何ですか?
そう問いかけたときに、答えられる職員が職場にどれくらいいるでしょうか。先日ある自治体で、企画、財政、人事に携わる職員数名と会合をしていたときに、この質問を投げかけてみました。すると、一生懸命思い出そうとするものの、とっさには思い浮かばず、結局誰一人すぐに答えられる方はいませんでした。

もちろん後から「〇〇〇ですよね」と伝えると、「あぁ、そう、それです!」と、すぐに思い出せなかったことをテレ笑いされていました。

ただ、地域のめざす姿をすぐに思い出せないことにはわけがあります。それは、どの自治体でも、法律事務に関わる多くの職員にとって、地域のめざす姿は自分の仕事と直結しておらず、身近に感じにくいものだからです。

しかし、これを「自分とは関係がない」ととらえてすませるのか、「直接的ではないが、必ず関係はあるもの」としてとらえるのかでは、仕事の仕方に大きな違いが出てきます。
例えば、仕事を進めるうえで思いがけず大きな問題にぶつかってしまったとします。前者の場合、自分の役割を担当する事務を予定どおり滞りなくこなすことにあるととらえていると、「これは、自分の担当外の問題だから、予定どおりできなくても仕方がない。これ以上は無理だ」と作業を中断してしまうのではないでしょうか。一方、後者の場合には、「自分では解決できない担当外の問題だけれど、この問題を解決できそうな人に問題を知らせて、どうしたらいいか相談してみよう。また、自分にも何かやれることはないだろうか、協力できることを相談してみよう」と、関係者に働きかける可能性がでてきます。

どちらも自分では解決が困難である問題に変わりはありませんが、自分の仕事がその先のどことつながり、結果何に影響を及ぼしているのかまで視野を広げてとらえているかどうかが、組織全体の問題解決力の差になってきます。


■仕事をいつもと違う目線で見直してみる


自分の仕事をどの視野でとらえるか、目の前の仕事をそのずっと先にある地域のめざすものと関連づけてとらえられるようになるためには、きっかけが必要です。そのきっかけはどこにあるでしょうか。

1)住民の一人として、地域のめざす姿を語り合う

基本構想に記された将来像は、ほとんどが抽象的できれいな言葉になっています。それゆえ、個々の職員が担当する具体的な実務を通じてめざす姿をとらえることは困難なものです。

その場合、まずは一人ひとりが住民として、暮らしの中でこのめざす姿を実感できるかどうか、「これって、今と何が違うの?」「自分たちの暮らしの何が変わることなのだろうか」などと気楽にまじめな話し合いをしてみてはいかがでしょうか。最初のうちは、すぐにイメージできるものではないかもしれません。しかし、人生の長さは、単年度の仕事の節目よりもずっと長いものです。自分が子どもだったときどんなまちだったのか、そこから何が変わって来たのか、また、自分自身が年老いたときに自分や自分の子どもたちにとってまちがどんな姿になっているといいだろうかなど、過去から将来に向けて思い浮かべながら話していくと、いくつか思い描けることがでてくるものです。

通常であれば十年ひと昔と言った変化の感じ方をされますが、現在の世界的なパンデミックは一年で劇的な変化を巻き起こす可能性を持っています。目の前の課題を前年からの延長で考えるのではなく、人生100年のライフサイクルの長さで大きな節目をとらえ直してみることで、少し遠い先からバックキャスティングしやすくなります。それが、めざす姿と今の仕事の間に革新を含めた変化の可能性を柔軟に見出すことにつながります。

2)移住者のつもりでまちをとらえ直す

 もう一つ、まちの将来像を思い浮かべるときに、今このまちにすでに住んでいる人にとっては、当たり前になっていて見逃がしていることがあるものです。そのため、将来それがどうなっていればいいのかのめざす姿に向けた取組みについても、新しい発想が思い浮かびにくいのかもしれません。

昨今では、地方創生の必要性から人口ビジョンを掲げ、移住促進に取り組む自治体が増えてきました。そこで、まちを移住者の視点でとらえ直してみると、このまちならではの魅力や、変化するチャンスに気づく可能性が高まります。移住者でなくても、自分の友人や親せきなど、異なるまちに通い、暮らす人から見た目線でとらえてみることもお勧めです。

これら今の仕事の立場を離れて見直してみることにより、めざす姿と今の仕事の間に見過ごしている点が見出されて来れば、今の自分の仕事とその先に何が必要かをとらえることもしやすくなります。
自分の仕事が誰の役に立ち、まちの将来にどのようにつながっているのかを意識しながら仕事をすることは、前向きによりよい仕事にしていこうという改善意欲を持つ姿勢につながるとともに、他の人が担当する仕事と相互につながり、協力し合って成果を高めていく組織のパフォーマンスにつながってきます。

特に、所属長のみなさんには、コロナ禍で日々ご多忙とは思いますが、職場で年度当初に人事評価の個人目標を設定する前に、ぜひ職員一人ひとりが自分たちの言葉で、自分たちのまちの将来を語り合う環境づくりをしていただければと思います。その中で、職員が自ら視座を変え、視野を広げて、地域のめざす姿と仕事との関連づけと位置づけをとらえ直し、目標設定を意欲的に行えるようになれば、年度のよいスタートになるものと思えます。

著者プロフィール

元吉 由紀子

元吉 由紀子

YUKIKO MOTOYOSHI

生活者起点で時代最適の価値を創造し続ける経営を実現できるよう、トップと現場の有志たちが連携・共振していくプロセスを一緒に築きあげている。

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