現場の方々の生の声を聞くことが目的だったのに、荷降ろしの作業は想像以上にハードで、もうそれどころではなくなるぐらい筋肉のほうを酷使してしまいました。

チームになることは、シンプルな行動から

沖縄ヤマト運輸本社の教育専任者に近井美奈子さんという方がいます。
この日は近井さんと一緒に支店・センターを回りましたが、どこへ行っても目にする光景は同じでした。
「近井さんが来ると、支店・センターの人たちの目が明らかに輝く」のです。

近井さんはいつもニコニコしながら、「最近どう?」と一人ずつに声をかけて回ります。話しかけられたセールスドライバーさんたちも嬉しそうです。ふとしたタイミングを見ては、「この前の○○どうなった?」と話しかけるのですが、これは一人ひとりの近況を把握していないとできないことです。

「私、こないだこんなことしちゃったからねぇ」とプライベートの失敗談をしたり、「おかえり~」「行ってらっしゃい」と優しく声かけをするたびに、こわばっていた場の空気がどんどん和らいでいくのがわかります。
「なぜ近井さんはそんなことできるんですか?」と聞くと、「みんなを自分の家族みたいに思ってるんです」という答えが返ってきました。

ありたい姿に向かって進むにあたり、現場はチームになる必要があります。
しかし、「そもそもお互いの仕事内容に興味がない」「担当同士の間に壁がある」「報告はするけど相談はしない」といった話は、 どの会社の職場でもよく聞きます。

現場を回る近井さんを見ながら、私の頭の中をグルグルめぐってい たのは「チームになることを難しく考えすぎていないだろうか。もしかしたら意外に、もっとシンプルなことなんじゃないだろうか?」という思いでした。

「変革」などと大上段に構えなくても、分析的なスキルを駆使しなくても、周りの人に興味を持つ、気軽に声をかけてみる、少しだけ自分をさらけ出してみるなど、小さく小さく行動を始めてみることが、じつは本当に大切なことなのではないでしょうか。