「コンテント型」のコンサルティングとプロセス型」のコンサルティング

一般的にコンサルティングといわれるものは、その対象とアプローチのしかたによって大きく2つに分けられます。
一つは、問題や課題に対して、専門的な知識やノウハウ、解決策などの内容を、ある種の正解として提供する「コンテント型」のコンサルティング。
もうひとつは、人の気持ちや人間関係、コミュニケーションのしかたや仕事のしかた、リーダーシップや意思決定、暗黙のルールなど、いわゆる目に見えない部分(=プロセス)に働きかけて、組織の人たちが自分たちの力で答えを見つけて解決していけるように一緒に考えていく「プロセス型」のコンサルティング、です。

プロセスデザインとは

この「プロセス型」のやり方を、日本企業の組織や制度、文化や風土、組織人のメンタリティなどの物理的・心理的実態を出発点に、スコラ・コンサルトの大事にしている「組織を進化させる価値観」を設計思想としてつくり込んできたのが「プロセスデザイン」です。つまり、「風土・体質改革」というのは、日本生まれのプロセス・コンサルテーションというわけです。

「プロセス・コンサルテーション」の概念をはじめて提唱したMITのE.H.シャイン教授は、それを「ある組織が問題解決をめざす際に、それを援助するようなコンサルティング」と定義しています。シャインの著書の訳者まえがきには、「組織が解決すべき問題は、究極的にはコンサルタントがではなく、組織が自ら主体的にこれを解決するのでなければ、真の問題解決にはなり得ないという信条が深く意識されている」とも説明されています。
個人のカウンセリングをベースとして考えられたシャインのプロセス・コンサルテーションは、クライアント組織に対してコンサルタントが支援・助言を行なう援助関係を築くことを重視しています。

プロセスデザイナーは同じ目線で「一緒に考える」

それに対して、私たちはさらに、クライアントとコンサルタントとの間に“援助する側とされる側”の境界をつくらず、同じ目線で「一緒に考える」という関係性の構築に挑戦してきました。
往々にして日本の企業では、コンサルタントや研修講師のような外部の専門家は「先生」と呼ばれ、指導的立場に立って「指導される側」の人たちと接します。そこに生じる関係性もまた、相手を受身にする、すなわち「内発的動機が引き出されにくくなる」という点で、プロセスの一要素として影響を与えます。
私たちが「コンサルタント」という呼称を使わず、はじめから「プロセスデザイナー」と名乗ってきたのはそういう理由からなのです。