特に人と組織の問題に悩んでいる経営者には、この問いを持ちながら風土改革を始めてほしいと思い、このたび経営者・経営幹部の方々に向けて「経営会議から始める風土改革」をテーマにしたセミナーを開催することにしました。
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なぜ「経営会議」なのか
日々の業務の進め方や職場のマネジメントには、その会社の組織風土が色濃く反映されています。その職場がどこを見て動いているかといえば、最終的な意思決定権を持つ経営陣、そして、経営陣が会社の方向性や戦略、経営課題を考え、重要な意思決定を行なう「経営会議」にたどり着きます。
経営会議というと、社員にとっては閉じていて見えにくい場ではありますが、その場の中身は、経営幹部同士が本当にオープンに意見を言い合えているでしょうか。そして、チームとしての方向性や判断基準が共有された関係性の上で、大事にする経営の価値観にもとづき、合意形成から意思決定に至るまでの一連のプロセスが“質高く”行なわれているでしょうか。
長年にわたって刷り込まれてきた組織の思考や行動パターンは簡単には変わりません。しかし、経営者をはじめとする意思決定層が風土改革の意味を理解し、経営の場から組織の文化や仕事の習慣を変えていこうと、まずは経営会議のあり方を自ら見直すことで、風土改革も効率よく進みます。トップマネジメントのチームが変化を体現してこそ、答えのない時代の新しい経営スタイル、未来の組織づくりをリードすることができるのです。
これからの経営を考えることと「経営会議」を変えることはセットで
会社の未来は、意思決定チームのありように大きく左右されます。
経営会議では、各所の情報(データ、現場感覚)をもとに最適解を導き出し、意思決定を行ないますが、その意思決定の質は、チームの関係性、事実情報に対する感度や関心、課題創造の力、議論の質によって変わります。
情報量やデータ分析も重要ですが、とりわけ混迷する環境下では、根本的な問題を顕在化させ、既成の答えを覆し、イノベーティブな課題設定につながる「常識を問う力」が議論の基調に必要です。
今はまだ多くの企業で、計画どおりに数値目標を達成することが最重視された時代の美意識や常識が生きていて、結果を生み出すプロセスよりも、“結果がすべて”の価値観を引きずっています。
しかし、正解のないこれからの時代は、会社や業界の垣根を越えたビジネスパートナーや、身近なところでは外部登用の経営メンバーなど、視野も経験も文化も違う人たちと話し合いながら“一緒に答えをつくる”機会も増えていくでしょう。
特に日本企業の場合は内部昇格者の幹部が多いこともあり、タテ割り組織の部門長の立場では持てなかった全社的な視点で物事を見て、考えるためのトレーニングの機会が必要です。
経営会議の中身を“結果重視”から“生み出すプロセス重視”へと変えていくマネジメントの前提の見直しは、環境最適な新しい経営のメンバーを育て、経営のやり方を変革することにもつながるのです。
最近では、経営チームづくりと経営会議の見直しを入口にして組織風土改革に着手する会社の例も増えてきています。
風土改革は、時代に合わない会社の常識や価値観を見直し、変化に柔軟な会社になっていくために行なう、未来のための準備でもあります。
その改革においては、最も影響力のある経営の意思決定層から着手することが、最も効果的かつ近道であると考えられているのです。