「やらされ感」から自律・自走へ
――事務局と現場が育てたOC活動5年の歩み
―IB事業部では2020年からオフサイトミーティング(OSM)の活動を進めてきました。初めに事業部内でオフサイトミーティング・コーディネーター(OC)を育成してOSMを展開する取り組みは5年つづいています。平井さんは企画室の担当者として事務局を務め、同時に第1期のOCメンバーでもあります。20年当時、どのように活動をスタートされたのでしょうか。
平井さん:私は企画室の所属ですから、事務局の担当者だと思って参加しました。ところが、フタを開けてみると、私自身の名前がOCメンバーのリストにあって驚きました。さらに、スコラさんとの契約や予算管理、スケジュール調整などの管理業務も担ったので、「事務局兼選手兼管理者」という立場でした。
スタート時のOCメンバーは10人。30代半ばから40代半ばが中心で、社内等級(グレード)でいえば、管理職手前のG4とその下のG3。私ひとり50代半ばで、他のメンバーとひとまわり以上の年齢差がありました。
みんな突然の指名で集められ、「何をやらされるんだろう」と不安げでした。「オフサイトミーティング」という言葉に馴染みはないし、コーディネーターといわれてもよくわからない。事務局の私自身も手探り状態でした。
20年上期は、まずOCメンバー全員でスコラさんのOC養成講座を受けました。オフサイトミーティングとは何か、組織内でどんな役割を果たすのかといった基礎的な内容を学ぶ期間です。下期に入ってから、私たちOCが進行役を務めるOSMが開かれるようになりました。正直なところ、よくわからない状態でスタートし、実際に回数を重ねるうちにOSMの意義や価値がみんな実感できました。初めは「やらされ感」が漂っていたけれど、徳橋事業部長の号令があったから前に進んだと思います。
―実際にOSMがはじまってから、どのように運営されたのでしょうか。
平井さん:初年度の対象者は、中堅から管理職候補の社内等級でG3とG4、事業部の6割を超える110人以上でした。下期の半年間で約20回開き、104名が参加しています。
1回あたりの人数は5人から7人ほど。時期はコロナ禍の真っ只中でしたから、すべてオンライン開催でした。
開催のスケジュール調整、参加者の選定、OCの割り当ては、すべて事務局の私が担当しました。さまざまな視点や制約があり、いわば独断と偏見です(笑)。
スケジュール調整がとにかく大変でした。事業部内の研修と日程が重なったことがあり、その反省から対象者全員のカレンダーを確認して、日程と参加者を決めるようにしました。日常業務とは違う立場で集まる場なので、人選は職場が異なるメンバーで組むのが原則です。

OCは2人体制です。進行を担当するメインと、資料準備や記録を担当するサブ。サブは裏方に見えて、実はやることは多くて楽ではありません。OCの組み合わせも、所属部署、年齢、経験などを考えながら決めました。私自身もメインとサブの両方を担当しました。
困ったのは、担当予定のOCが業務都合で参加できないケースです。まずは他のOCメンバーに「誰かできない?」と声をかけ、どうしても見つからない場合は、私が代打で入るしかありません。これまでに代打OCを務めたのは、トータルで15回ほど。結果として、OCの担当回数は私が最多になりました。
なにしろ手探りでしたから、スコラの方々にたびたび相談しました。初めの1年ほどは、事務局としてもOCとしても、周りに支えられながら何とか進めていきました。
―初年度の下期だけで対象者の大多数がOSMを経験されたのは、かなりのペースですね。2年目も同様の活動内容だったのでしょうか。
平井さん:初年度は下期の半年で約20回ですから、月に4回ほどのハイペースでした。2年目以降は、6月頃から翌年2月頃までの長期間にわたって20回から25回を実施してきました。
ただ、2年目に対象者が若手社員のG2まで拡大され、対象者は140人近くまで増えました。OCメンバーのほうは、第1期の1人が業務の都合で抜け、第2期メンバー4人が加わって計13人になりました。これまで毎年4~5人の新メンバーが入り、先輩OCと後輩OCでペアを組むのが原則です。おかげで担当数や開催ペースについてOCの負担は多少軽くなりました。
問題となったのはOSMの中身です。2回目の参加者が多数なので、「また同じ内容なのか」と評価を下げるかもしれない。1回のOSMは4時間。忙しいなか参加して時間のムダだったと思われても困ります。
初年度のOSMは、参加者それぞれが個人的な経験や思いなどを話す「ジブンガタリ」が中心でした。「うちの事業部にこんな人がいるんだ」とお互いの人となりを知ってもらうだけでもいいという考え方でした。
2回目以降もメンバーが違うからジブンガタリは有効としても、何か別の要素もプラスしたらどうかという意見がOCメンバーから出ました。いくつかの案を検討した結果、採用されたのは「相談ガタリ」です。初年度のOSMで「部署が違う人たちに相談できてよかった」という参加者の感想があったからです。
ところが、あまりうまくいきませんでした。「初めてオンラインで話す相手に、いきなり相談なんてできない」という参加者の感想も無理はないと思います。
OSMの内容を決めるのは毎月1回、2時間ほど開く「プロセスデザインミーティング」で、OCメンバーの間では「作戦会議」と呼んでいました。終了したOSMについて、参加者の反応や場の雰囲気、うまくいった点や引っかかった点など、OCたちの振り返りや気づきを共有して、今後のテーマや進め方を話し合います。スコラさんもオブザーバーとして参加し、OSMの設計を支援してもらいました。
次回のOSMについても、参加者リストを見ながら「この人はどんな姿勢で参加するだろう」「何を発言するだろう」とみんなで妄想しながら戦略を練ります。実際に集まるのは次回の担当予定者のほかに3~4人程度。皆勤したのは3人ほど。とくに1年目はみんな必死だったので参加率が高かったですね。
私はあえて議論に口を挟みませんでした。自分たちで考えて決めていくことがOCメンバーの自走を促すうえで重要だとスコラさんからもアドバイスをもらっていました。作戦会議の熱い議論を通して、OCメンバーはだんだんこの活動を「自分たちのもの」と捉えるようになり、1つのチームにまとまっていったと思います。相談ガタリがうまくいかなかったあとも、次の展開を真剣に考えていました。
