―クオリカIB事業部では、2021年からオフサイトミーティング(OSM)(※1)に取り組んできました。初めにコーディネーター役のオフサイトミーティング・コーディネーター(OC)を育成し、事業部内にOSMを展開していく進め方で、5年にわたる長期活動になっています。徳橋さんが事業部長に着任された2020年4月当時、IB事業部はどのような状況だったのでしょうか。

※1 オフサイトミーティング®とは「気楽にまじめな話をする」ための場であり、スコラ・コンサルト独自の手法。詳細はこちら

徳橋さん:私が事業部長になったのはコロナ禍の真っ只中で、在宅勤務が急速に広がっていました。ITエンジニアが中心の事業部なのでお客さまのところに常駐するメンバーも多く、もともと社内でのコミュニケーションが希薄になりがちな職場にコロナが重なり、このままでは組織として成り立たなくなるという危機感を覚えました。

着任の2週間後にはOSM中心の活動に取り組むと決め、スコラ・コンサルトさんに連絡しました。実は私自身、2000年代初めから何度かスコラさんの活動を体験し、組織風土が変化する様子を目の当たりにしていたので、「絶対に効く」という確信がありました。

スコラさんの活動は、私のマネジメント観と一致する点がいくつかあります。たとえば、人間の欠点や短所にフォーカスしない進め方。とくに私たちのようなSIer業界は「短所是正」の発想が強い。問題を見つけて解決する、できるだけリスク回避する、といった考え方が支配的です。


しかし「短所是正」だけではバランスがわるい。「長所伸展」で一人ひとりの強みを伸ばして活かす組織のほうが強い。スコラさんの活動は長所伸展が実践できる場だと感じていました。

私の理想は、平たくいえば「雑談が多い組織」です。お互いに仕事の価値観、会社に求めること、プライベートの事情などを知っていれば相手の意見を深く理解できる。「きのうの大谷翔平はすごかったね」でも「日曜のゴルフどうだった?」でもいいんです。雑談から相手がわかり、仕事の話題につながることもある。OSMは「雑談が多い組織」のイメージに近いんですね。

こんなこと話していいかはわかりませんけど、もうひとつ私の理想は「社内結婚が多い会社」です。社内の人間関係が豊かでエンゲージメントが高くないと、同じ会社の人と一緒に暮らしたいとは思いません。社内結婚の数は、従業員満足度のバロメーターでもあります。

ひと言でいえば、どちらも組織が元気だということ。お互いを知り合い、コミュニケーションが活発になる。この活動で「元気な組織」の土壌をつくりたいというのが当初の狙いでした。

―スタート時の目的が「元気な組織」であったことがよくわかりました。活動が進むうちに、別の目的や狙いもプラスされていったのでしょうか。

徳橋さん:まったく変わりません。現在も「元気になること」が目的です。

スタートから1年ほどたったころ、OCメンバーから「問題解決に取り組みましょう」と提案がありました。事業部の問題・課題を洗い出して解決策を考える、という内容です。一見すると前向きな提案ですが、私は「仕事のなかでやればいいから」と否定しました。

問題解決にフォーカスした途端、OSMはビジネスに近づいてシラけてしまいます。しかもOSMは、改善案などのアウトプットを求めない。対話そのものに価値があり、結論を出す必要がない。

楽しくないことは、誰だってやりたくないですよ。楽しいことは継続できる。OSMも「おもしろかった」「また参加したい」と思われなければ意味がありません。「元気になること」に集中する姿勢は、一度もブレていません。