―OCメンバーが1つのチームにまとまり、試行錯誤しながらも活動は軌道に乗ったわけですね。
平井さん:すべて順調に進んできたわけではありません。実は大きな転換点がありました。2年目の終わりに、リアル・オフサイトミーティングを体験しようと第1期と第2期のメンバーが初めて集まったときです。
2022年12月23日、場所は東京・五反田にあるスコラさんのオフィスでした。ずっとオンラインでしたから、リアルでは2年越しの初対面という場でもありました。
この場を設けたのには、私なりの理由がありました。初年度は徳橋事業部長が明確に号令をかけてスタートした。一方、2年目は徳橋事業部長の号令がなく、OCメンバーに任されたかたちで進んでいました。事務局の立場で見ると、もうOCが自分たちでまわしている状況に入っている。だからこそ、「来年も継続しますか」と顔を合わせて確認したかったのです。

あらためて問えば、「もうやめましょう」の声が大きいかもしれないと予想していました。2年目は試行錯誤が多く、作戦会議でも厳しい意見が出ていました。内心では「やめるならいまだ」「むしろやめてくれ」と思っていたのです。
ところが、実際に話してみると、ほぼ全員が「つづけたほうがいい」という回答。驚いたのは、作戦会議にあまり参加しなかったメンバーまで継続に賛成したことです。「この活動は本当に意味がある」「もっと深めたい」という前向きな理由でした。
夜の懇親会には、徳橋事業部長も参加しました。お酒を飲まれないのでずっとシラフ。あとで「ふだん口数が少ない人たちが、ハイハイって手を挙げて意見をいってるから居心地悪くてしょうがない」と笑っていました。しかしこれこそが徳橋事業部長のいう「元気な状態」だと思います。
この日を境にOCメンバーの雰囲気は変わりました。やらされ感は完全になくなり、「自分たちの取り組みだ」という意識がはっきりしてきた。事務局として、もう自走しはじめていると感じた瞬間でした。
―徳橋事業部長は、最も印象に残った活動の1つに「部門長対話会」を挙げておられました。平井さんからご覧になっていかがだったでしょうか。
平井さん:たしかに活動が一段階上に進んだイベントでした。しかも、事業部長や事務局が言いだしたのでなく、OCメンバーから提案されたことは重要です。「管理職にも、この活動の意味をちゃんと知ってほしい」という声が自然と出てきたのです。
背景には、OSM参加者の悩みがありました。忙しい時期にOSMへの参加を打診すると、上司が「こんな時期になんでそんな集まりに出るんだ」と嫌な顔をされることがある。活動の価値が管理職に伝わっていないと、参加者は萎縮してしまう。だったら一度、部門長や統括クラスの人たちに体験してもらおうというのがきっかけでした。
準備の途中で参加予定者から「オフサイトとゴルフをセットでやろう」と提案され、OCメンバーが強く反発したこともあります。「それならやらないほうがいい」と計画が一度止まりました。最終的にゴルフはやめにして、通常のリアル・オフサイトとして計画しなおすことになりました。
実施したのは2023年9月22日です。部門長や統括が参加し、ファシリテートしたのは35歳から40歳前後のOCメンバー。内容はジブンガタリと未来ガタリ。肩書を外して、どういう思いで働いているのか、今後どうしたいかを語り合う場です。若手・中堅のOCが臆せず対話の場をまわしました。
対話会のあとで部門長たちから「うちの部門でもやりたい」という声が出て、事業部横断の取り組みだけでなく、部門内の取り組みへと広がりました。
部門長対話会で活動の流れは決定的になりました。OSMはもう施策でなく、カルチャーになりつつあると感じました。
―部門長対話会のあと、活動はどのように変化していったのでしょうか。
平井さん:部門長対話会から大きく変わったと思います。私自身が「もう自分は前に出なくていいな」と感じて、3年目の終わりに「事務局に徹します」と宣言しました。
理由はシンプルで、事務局や先輩OCが前に出すぎると、後輩OCはどうしても様子見になる。自分たちで考えて決める空気を壊したくありませんでした。
もっとも、実際は業務都合でOCが欠けることは多く、「代打で入ってください」と頼まれます。引退宣言したわりに、まだ年間のOC回数は一番多いかもしれません(笑)。
OCメンバーの成長で、印象に残っているのは佐々木さん。福島県郡山市からのリモート参加で、初めのうちはほとんど発言しませんでした。いまではふつうによくしゃべります。本人が「社内に友だちができるとは思わなかった」と話すのを聞いたとき、この活動をやってきてよかったと思いました。
OC活動は、課題解決を前面に出すと場が硬くなり、対話がつまらなくなる。まずはつながること。仲よくなること。組織が元気になる土台です。
人がつながれば、課題はあとから勝手に浮かび上がるし、勝手に掘り下げはじめます。理想は「オフサイトをやります」といわなくても、自然に集まって話している状態。5年間の活動で入口まできたと感じています。
